牛肉セーフガードの粗相を斬る(2003.8.6)
世界貿易機関(WTO)では、輸入品の急増で損害が出た場合、
緊急避難措置として、セーフガード、いわゆる輸入制限を発動することを認めている。
牛肉の関税は50%であったが、輸出国側との交渉で現在は38.5%まで引き下げられている。
しかし、四半期の輸入量が前年同時期の1.17倍を超えると、
政府が損害を認めなくても自動的にセーフガードが発動される。
いったん発動されると、その年度の終わりまで関税は50%にまで引き上げられる。
農畜産業振興事業団の報告から、牛肉需給状況を見てみよう。
| 年度・月 | 推定期首在庫 | 生産量 | 輸入量 | |||
| トン | 前年比 | トン | 前年比 | トン | 前年比 | |
| % | % | % | ||||
| 10 年 度 | 82,449 | 98.6 | 371,405 | 100.4 | 681,791 | 103.5 |
| 11 | 84,650 | 102.7 | 381,088 | 102.6 | 682,596 | 100.1 |
| 12 | 93,271 | 110.2 | 364,821 | 95.7 | 738,415 | 108.2 |
| 13 | 108,633 | 116.5 | 328,958 | 90.2 | 607,540 | 82.3 |
| 14 | 132,045 | 121.6 | 362,909 | 110.3 | 534,012 | 87.9 |
平成13年、14年と輸入量は前年対比で8割という状況になっている。
これは、みんなよく知っている狂牛病騒ぎが大きな原因となっている。
即ち、特殊要因によって一時的に輸入量が減ってしまったのだ。
そして、今では狂牛病騒動も一段落し、牛肉に対する需要も回復の兆しを見せている。
閑古鳥が鳴いていた焼肉屋にもたくさんの客が帰ってき始めた。
騒ぎが収まれば、牛肉の輸入量が増える、ではなく元に戻るのは当たり前のことだ。
繰り返すが、増えたのではなく、元に戻っただけの話だ。
減った輸入量が元に戻ったからといって、畜産農家が大きな打撃が受けるわけではない。
にもかかわらず、農水省は「決まりは決まりだから」と意に介さず、セーフガードを発動した。
一体守るべき畜産農家がどれくらいいて、その一方で被害を受ける人間がどれだけいることだろう。
農水省は、「関税引き上げ分が全て価格に転嫁されても小売価格の上昇分は2.5%程度、
大半は流通段階で吸収され消費者への影響は少ない」と試算している。
百歩譲って、消費者への影響が少ないとしても、しわ寄せは必ずどこかにやってくる。
外食産業の利益率にはもちろん影響があるし、利益を確保するために今までよりも安い肉を使われだすと、
価格は同じでもまずい肉を食わされる、という点で消費者にも少なからず悪影響が出てくるはずだ。
外敵がやってくると、いつもこんな姑息な手段で生産農家を保護してきた農水省。
生産性を高めて競争力をつけさせるというのではなく、甘やかし続けて、
そのつけを常に国民に回し続けてきた。
何とかしてくれと、陳情して泣きつく側にも問題はあるが、
それを容認してきた方が責任は大きい。
家庭教育が崩壊し、
甘やかされて育った不良品が犯罪者となって、
その社会的コストを国民が負担する。
いつか、そんなことを書いたが、
実は国全体が昔からそんな構造になっていたというわけだ。
こんな無策をいつまで続けるつもりなのだろう。
そろそろ、目を覚ませよ、
こら、
脳衰症
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