とんねるず人間大砲の粗相を斬る(2003.10.5)




またまたテレビのバラエティ番組で悲しい事故が発生した模様だ。

被害にあったのは歌手の葛城ユキ(54)。

俺くらいの歳の人間からすれば、決してバラエティ番組に出るような歌手ではなく、

聞くものの魂を揺さぶる、日本を代表する本格的なロックシンガーなのだが。



日刊スポーツによると、

葛城が負傷したのは「とんねるずのみなさんのおかげでした」の「人間大砲」コーナー。

大砲の筒に入ったゲストが、ゴム仕掛けによって弾のように撃ちだされ、
空中を飛んでいる間に自分のヒット曲を歌うという企画だ。

大砲の高さは3・2メートルで、ゲストは放物線を描いて約10メートル先のウレタンが敷きつめられたプールに着地する仕組みになっていた。


らしい。

大砲から打ち出され、頭から落下した葛城ユキは、

歩行まで4週間、退院まで2カ月、ステージ復帰まで3カ月の時間を要する

という重傷を負った。



番組の趣旨は、

「懐メロ・イントロクイズ」と題して、空中で歌っている間に、とんねるずらが曲名を当てるという企画だった

そうだが、制作者のレベルの低さはともかく、これではまるで見世物小屋ではないか。



大砲の弾にされたのは、葛城ユキのほか、歌手田中星児(56)や松村和子(41)ら。



いずれも未だに歌手活動を続けているようだが、

彼らにもう一度スポットを当てさせて、あわよくばもう一度金儲けを、と企む事務所。

そういう弱者の立場を逆手に取り、
嘲笑という笑いを取ろうとする制作者、テレビ局。

明日はわが身と言う言葉を知らない、脳天気な番組出演者。

そして、それに従わざるを得なかった哀れな昔の人気歌手たち。



バラエティ番組、らしいが、公開いじめ番組に近い。



俺はこの番組を見たわけではないが、

もし仮にこの番組を見て、どれくらいの人間が腹から笑えたかを知ることができれば、

おそらく今の日本がどの程度病理に犯されているのかも推察することができただろう。



政治家でも企業家でも。

どこの世界でも例外なく、頭の良い奴と悪い奴がいて、

その比率は圧倒的に後者の方が大きい。

無論、テレビ関係の世界も例外ではなく、見る側、見せる側両方に同じ比率が当てはまる。



見る側が低俗だから、それに見合った番組を、という主張もあるかもしれない。

しかし、社会に歪みがあるのなら、それを正していくのもテレビの大切な役割ではなかろうか?



今回のような公開いじめ番組を見て、ハハハハと笑っている子供たちの心の奥底には、

弱者をいじめて楽しむ喜び、というものが少なからず刷り込まれていくことだろう。

そして、それがいつの日か無意識のうちに、言動や行動に表れる。



テレビの問題はバラエティ番組に限った話ではない。

政治や経済に関する討論においても、イライラさせられることが非常に多い。

今日もサンデーモーニングを見ていて、連発する企業事故に関する討論の中で、

写真家の浅井慎平氏が「自転車に乗った子供にぶつかられ、その子が謝らずに自転車が悪いと言ったのは驚愕した」

と、問題の深層部に切れ込む事例を紹介したのに、周りの人間が気づかず、論議が表面上を空転するばかり。

見る者に気づきも何も与えられない、事件の紹介コーナーで終わってしまった。



テレビがないと儲けに影響が出る企業や、言論統制を声高に叫ぶ人たちがいるから実現性は乏しいが、

俺は今日はテレビのない日というものが必要なのではないかとさえ思っている。



今回の事故でフジテレビの広報局は、「今後は収録の安全管理を徹底したい」そうだが。

こういうセンスを笑いの方に活かしてほしいものだ。



いずれにしても。



世の中にはテレビさえ持たない人や、良い番組を選択できる人、そして下らん番組からさえも学べる人はいるだろう。

しかし圧倒的多数の人間が、テレビの言うことを盲信し、そして体に回る毒に気づくことはない。



そう、まるでヤク中のように。





先生、ドラマやバラエティを見ないと、イライラして体が震えるんです。







大丈夫ですよ、これからは。

















つでもどこでも、


































思う存分アホになれますから。


次の粗相を斬る

粗相を斬るのTOPへ