安易な救急要請の粗相を斬る(2004.9.20)



俺が生まれ育った呉市Y町は、のどかな田舎町だ。

これといった企業があるわけでもなく、

ましてやY町出身の有名人など一人もいない。

テレビや新聞を騒がす事件にも本当に縁のない町。



そんなのどかな町だから、

近所に救急車でも来ようものなら、それこそ蜂の巣をつついたような騒ぎになる。



ピ〜ポ〜、ピ〜ポ〜、ピ〜ポ〜・・・。



オバハン連中がゾロゾロと路上にあふれ出す。



どこかいね?

渡辺さんとこらしいで。

あぁ、源三爺さんかいね。

どしたん?

前から、肝臓の具合が悪い言いよったろう?

ほんまね?嫁が大変じゃねぇ・・・。




こんな調子で救急車が立ち去った後も、しばし臨時集会が盛り上がっていくのだ。



俺自身も救急車には縁がないから、今でも珍しいものという意識があるのだが、

都会の方では事情が全く違うらしい。



読売新聞によると、

東京都内の救急車の出動件数が急増している。

高齢化で独居老人が増えていることに加え、

「無料で搬送してくれる」「診療が優先的に受けられる」などの理由から、

安易に利用するケースも目立っている。


らしい。



救急車の出動件数推移を見てみると、

区分 平成4年 平成9年 平成14年 10年間の増加率(%)
交通事故 76,751 79,596 91,095 18.7
一般負傷 52,493 64,942 91,274 73.9
急病 225,805 274,441 370,075 63.9
転院搬送 24,100 30,829 39,248 62.9
その他 29,715 32,804 38,191 28.5
総数 408,864 482,612 629,883 54.1

平成4年と平成14年を比較すると、この10年間で出動件数は54%も増加している。

東京都の場合、救急車が1回出動するごとに45,000円の費用がかかるらしいから、

お金の面だけを考えても大変な問題になっていると言える。

さらにお金以上に問題なのは、出動件数が増えることにより、

救急車が現場に到着するまでの時間長くなる傾向にあるということだ。

覚知から現場到着時間
平成4年 5分12秒
平成9年 5分18秒
平成14年 6分00秒
平成15年 6分24秒

平成9年と平成15年を比較すると、遅れは1分6秒。

たかが、1分6秒というなかれ。

この1分6秒の違いにより、蘇生率の低下は実に15%にも及ぶのだ。



まさに緊急事態的な問題だが、

解決するためには、救急隊を整備していくこととともに、

利用者側のモラルも改善していく必要があるだろう。



救急車出動の対象となるのは、

1. 災害により生じた事故の傷病者
2. 屋外や公衆の出入りする場所において生じた事故の傷病者
3. 屋内において生じた事故の傷病者で、迅速に搬送する適当な手段がない場合
4. 生命の危険や著しく悪化するおそれのある症状を示す疾病の傷病者で、
迅速に搬送する適当な手段がない場合


などのケースなんだが、どうもこれにはとても当てはまらない、安易な出動要請が多すぎるのだ。



例えば、

「具合が悪い」「腹が痛い」といった要請で駆けつけたものの、

症状を確認すると
「独り暮らしで寂しかった」「1人で病院に行くのが不安だった」


「歯が痛い」と夜間に要請してきた20代の女性は
「診察してくれる歯科医院が分からないから」


さらに、


50代の男性は「9時から入院することになっている」と病院名を指定して出動を要請、

衣類を入れた紙袋を手に持って待っていたという。




一人で行くのが不安なら、隣人なり、猫なり連れて行け。

二十歳も過ぎて、歯医者くらい自分で探せんか?

衣類を入れた紙袋を手に持って待っていたオッサンの、

一体どこに
生命の危険や著しく悪化する恐れがあると言うのだ?



こんなたわけのために45,000円も金を掛け、

本当に救急車が必要な怪我人、病人の命が危険にさらされる。



安易な救急要請に対しては、有料にするなりの対策が考えられてはいるが、

やはり、当事者への指導が必要ではなかろうか・・・。



ピ〜ポ〜、ピ〜ポ〜、ピ〜ポ〜・・・。


おじいさん、どうされました?

わしゃ、腹が痛いんじゃがの。



あのね、これくらいのことで一々呼ばれては困るんですよ。



これ、置いていきますから、





次からは、これをかぶって、







































 ピ〜ポ〜は口で言うんかの?

自分で走ってきてください!


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