新司法試験制度の粗相を斬る(2005.03.01)
俗に難関と呼ばれる試験の中でも、
特に司法試験はその最たるものといえるだろう。
1次試験は大学の教養課程を履修すれば免除されるが、素で受けるとかなりの難度らしい。
次いで2次試験の一番手は択一形式の短答試験で、科目は憲法・民法・刑法。
これをクリアすると論文試験が待ち受けており、科目は憲法・民法・刑法・商法・刑事訴訟法・民事訴訟法の6科目。
この論文試験が実質的な分水嶺となるのだが、実はこの後、ラスボス最終形態となる口述試験が控えている。
ここまでの合格率は2〜3%となっており、平均合格年齢は30歳弱。
早い人は2年で合格するが、下手をするとユーキャンではないが生涯学習になってしまう人も少なくない。
合格者を輩出している学校は、東京、早稲田、慶応、中央、京都など一部の大学に偏重しており、
これらの大学に合格するための受験勉強だけでもかなりのものだが、
大学入学後、司法試験合格に向けて予備校通いで続ける受験勉強も相当の時間になる。
簡単に言うと、10数年、「勉強・勉強・勉強!」の毎日が続くわけだ。
全ての人がそうだと言うつもりはないが、多感な時期を世間と隔絶されたところで、
知識の詰め込みだけに邁進し続ける。
これではおかしくならない人の方が、むしろおかしいと言えるかもしれない。
現行の司法試験は、誰でも受験できるという開かれた面がある一方で、
ちょっと間違うと、世間の常識からかけ離れたような人間に裁かれるという危険性も含んでいるのだ。
こういった司法試験制度のひずみを解消するために導入されたのが新司法試験。
受験という一発勝負で法曹(裁判官・弁護士・検察官)としての資格を問うのではなく、
法科大学院と言う専門のプロセスを経て、人間的に幅の広い法曹を育てようというのが趣旨だ。
大事なのは、法曹の数を増やすのが目的ではなく、あくまでも質の向上が主目的。
ところが・・・。
法科大学院(ロースクール)を経て受験する、「新司法試験制度」の合格率を、
「7〜8割程度」とぶち上げたところに悲劇は始まる。
法務省としては、ロースクールできちんとした教育ができるから、
その程度の数の合格者数は出るだろうとの読みだったのかもしれないが・・・。
たちどころに、日本国中ロースクールだらけに。
国公私合わせて68校、5800人近くの学生が集まってしまった。
各ロースクールはよそに負けじと、かなりの営業(水増し)努力をした様子だ。
それでも平均合格倍率は13倍。
2010年には新司法試験による合格者数3000人を目安としていた法務省も、
これにはかなり慌てたようだ。
7〜8割の合格率と言っていた法務省も昨秋になって、「2〜3割の合格率」と言い出す始末。
そして、ここから壮絶な綱引きが始まったのだ・・・。
学生:わしゃ、会社を辞めて借金までして来とるんじゃ!
ロースクール:2〜3割とか言うから新年度の学生数が4分の1になったわい!
法務省:そんなにたくさん入学させたら、質も下がるし、当然やろ!
全ては、「数の努力目標」が原因だった。
7割〜8割も合格するのなら、と学生が殺到するのもわかるし、
それを当て込んで大量入学させるロースクールの考え方もおかしいわけではない。
やはり、どの程度のレベルの学生が、どれだけ集まるのか、
ロースクールでどの程度の教育ができるのか、
全てが不明瞭なまま、数値目標を掲げた法務省の対応が責められるべきだろう。
3月1日の日経新聞によると、どうやら合格率は3〜5割に決着したらしい。
これを受けて、ロースクールの学生数、受験者数が減少すると、
また来年あたり合格率を7割程度に引き上げることは十分予想される。
これではまるで商品市況ではないか。
売りと買いの思惑が錯綜する、極めてダークな資格試験になっていくことだろう。
合格率激減の危機感からか、
現時点ですら、学校の授業を聞かず、予備校通いをするロースクール学生が出始めているのに、
こんなことでは、教える方も、学ぶ方もますます意欲をなくし、
段々と、レベルが・・・。
LOW SCHOOL
HIGH SCHOOLよりは、高いかも。
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