JR西日本福知山線脱線事故の粗相を斬る(2005.05.05)



俺がこの事故の第一報を聞いたのは、タクシーのラジオでだった。

その時のニュースでは「死者が数人出た模様です」と紹介されていたのだが、

最終的な死亡者数は107人に上る大惨事となってしまった。



詳細な事故原因が明らかになるまで、もう少し時間がかかりそうだが、

いずれにしても、「スピードの出し過ぎ」が大きな要因であることに間違いはないだろう。

では、なぜスピードを出さなければならなかったのか、

そして、なぜオーバーランしてしまったのか。

そのあたりについて、報道されている情報を元に考えてみたいと思う。



今から二十数年前。

俺は池田市の井口堂というところに下宿していたから、阪急の宝塚線はよく使っていたのだが、

当時は、まさかあのJR福知山線が、阪急宝塚線と張り合う路線になるとは想像すら出来なかった。



都市近郊の人口が増えるに従い、宝塚〜大阪路線は次第にドル箱へと育っていくのだが、

そのドル箱路線に、高料金で後発参入したJR西日本の競争力の源泉は、

「スピード」と「利便性」

であったことは、想像に難くない。



少々料金が高くなっても、目的地に早く着く、

ラッシュ時には数分に1本の割合で電車に乗れる、

そして、絶対駅と呼ばれる尼崎駅での接続も非常に便利が良い。



これらの、
「スピード」と「利便性」は、客がJR西日本に要求したものではないのだが、

提供されると、使う側としては別段文句を言う道理はない。

JR西日本に誘導されるがごとく、阪急からJRへと移っていく。

「スピード」と「利便性」は、「安全性」が確保されて初めて成り立つものだが、

客はそこまで、要求しない。

いや、要求するだけの情報を持ち得ないのだ。



安全だと信じ切っているから、ということもあるかもしれないが、

「スピード」と「利便性」は目に見えても、「安全性」はほとんど目に見えない。

例えば、私鉄がR400でも設置している脱線防止ガード。

JR西日本は、R250以下でないと設置しないそうだが、そんなことに一般客は気づかない。



5万人以上いた社員が3万人まで減り、乗務員がヘトヘトになっていることに一般客は気づかない。

日勤教育という、恐怖の懲罰をおびえながら運転していることに、一般客は気づかない。



そして、阪急の客を奪うために「中山寺駅」という停車駅を一駅増やしながら、

到着時間は以前のまま、という無謀なダイヤに一般客は気づかない。



客が気づかないからこそ、目付が必要なんだが・・・。



善人ぶるなよ、国交省。



今までの、そして今回のJRの怠慢、いや暴挙は、

国交省こそが、きちんと歯止めを掛けるべきだったであろう。

事故が起こってからJRを怒鳴りつけても、死んだ人は帰ってこない。

俺の見解では、国交省にもJRと同等の重大な責任があるのだ。



分割民営化されて以来、収益を上げるためにリストラ、そして経費節減を推進してきたJR西日本。

安全よりも収益を優先させるという企業体質はいろんなところにかいま見えるのだが、

今回の事故において、その最たるものと言えば・・・。



今回の事故で脱線防止レールや、新型ATSの設置など、

必要な金をけちったところが指摘されているようだが、脱線防止レールはともかく、

ATSに関しては、経費節減と言うよりも、むしろ、



「遅れ回復の無謀運転」を可能にするため



の未設置ではなかったかと俺は思っている。

いくら旧型のATSと言え、少なくとも2台設置していればスピードコントロールが可能となり、

出してはいけないスピードが出ないようにすることくらいは、朝飯前で出来るはずだ。



それを敢えて放置していたのは、経費節減ではなく、

暗に運転手の裁量で、



遅れを全力で取り戻せ!



と、
教唆、いや洗脳しているのではないかと・・・。

その洗脳こそが、あの日勤教育であり、先日の中期経営計画にあるダウンタイムの短縮・・・であろう。



JR西日本の垣内社長は、こう語っている。

徹底調査を行い、再発防止に全力を尽くします。

安全を最優先に、最大限の努力をいたします。




そう、



2002年に起きた、JR二重事故発生当時の記者会見、でだ。

人身事故が発生し、救助に向かった消防隊員が、後から来た特急列車に跳ねられて死亡した。

運転再開を焦った、JRの過失だった。

そして、その事故の記者会見で、当時垣内氏は上記のように語っている。

傍らには、今回と同じく村上安全推進部長を伴って・・・。



要するに、何も変わっていない、ということだ。

利益重視という考え方も、そして経営体制も。

学習できない組織体、と言って良いだろう。



信楽鉄道事故では、JRの過失という判決が下るまでの12年間、遺族に詫びることすらしなかったJR。

2002年の二重事故で、あれほど安全推進を誓ったのに、それ以降、より一層過密ダイヤを組んだJR。

事故列車に乗り合わせながら、救助もさせずに仕事をさせるJR。

大事故の記者会見中に、ボーリング大会に興じるJR。

新型ATSの設置を待たずに、運転再開を図ろうとしたJR。



こんなオッサンたちが集まって、社内で泣きながら訓辞をたれても、世間の嘲笑を買うだけのことだろう。

何を悲しんで泣くわけ?

え、垣内のオッサンよ。



もし、今回の事故を教訓とし、本気で改革をする気があるのなら、

俺から、一つ、二つ提案をさせていただこう。



一つ目。



社長室及び役員室に、死亡した全乗客の遺体写真を掲示し、そこで対策を論じること。

安全改革項目をオープンにし、乗客から満足出来る支持が得られるまで改善し続けること。

当然、それまで写真は貼り続けておくこと。



そして、二つ目。



社長の、垣内君。






君には、













































1年間の、見習い運転手を命ず。

自ら危険を経験せずして、妙案なし。






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