翻訳本タイトルの粗相を斬る(2005.11.06)
俺は結構映画を見るほうなんだが、どちらかと言うと洋画の方が多い。
で、いつも気になるのが、映画のタイトルのつけ方だ。
感覚的な話で申し訳ないが、いわゆるヒット作、名作と呼ばれるものの多くは、
オリジナルタイトルを尊重したものが多いような気がする。
俺のお気に入りの映画タイトルを見てみても、
バック・トゥー・ザ・フューチャー→Back to the future
十二人の怒れる男→12 Angry men
街の灯→City lights
スティング→The sting
大脱走→The great escape
などなど、ほとんどそのまんま東。
言ってみれば、中身に自信があるから奇をてらう必要がないと言うことなのだろう。
また、あまりに長い原題だったり、馴染みのない単語が入っていたりすると、
禁じられた遊びとか、ショーシャンクの空にとか言った感じで、若干のひねりを加える場合があるが、
中には何でこうなるの?と感じるようなタイトルも少なくない。
これは翻訳本に関しても同じことが言える。
毎月5万近く本代に使いながら、一向に増えることのない俺の書評の中で、
賞賛している一冊が、「お金をかけずにお金を稼ぐ方法」
書評の一行目に、
どうしてこんなタイトルにしたのかわからないが、
タイトルの酷さに反して中身はかなり示唆に富んだアドバイスが盛りだくさんになっている。
と書いている。
原題は、
GETTING EVERYTHING YOU CAN OUT OF ALL YOU'VE GET
ま、わかりやすく言うと、
「あなたが今まで蓄積してきた知識・経験・人脈・顧客リスト・・・などの資産をフル活用してもっと儲けましょう」
と言うことにでもなるだろうか。
そう意味からすれば、「お金をかけずに・・・」もわからなくはないが、
あまりにも陳腐と言うか、品がない。
それでも内容だけはお勧めできるものだったから、俺は著者の「ジェイ・エイブラハム」をずっとチェックしていたのだが・・・。
つい先日、アマゾンで、彼の別の著作をついに見つけた。
2001年の「お金を稼ぐ・・・」以来となる、ハイパワーマーケティング。
2005年2月の刊行で、監訳者は以前銀座で飯を食ったこともある金森重樹氏。
ジェイ・エイブラハムの近著で、ハイパワーマーケティング・・・。
とりあえず、買わんといけんやろ。
で、早速アマゾンで購入し、届いたのが5日の土曜日。
机の上に放り投げ、読み始めたのが日曜日の朝。
とりあえず1章から読み始める。
アイスクリームが発明されたのは紀元前2000年。
ところが人間がアイスクリームコーンを考え出したのは、それから3900年も経ってからだ。
パンは紀元前2600年には・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
どこかで読んだことがあるのぅ・・・。
ビジネスを大きくする方法は3つしかない。
あれ???
ここにいたって、前著「お金をかけずに・・・」を書棚から取り出してみた。
いずれも書き出しが、
人間の脳とは・・・。
で、始まっている。
目次を見ると・・・段々といやな予感がしてくる。
恐る恐る、原題を見比べると、
GETTING EVERYTHING YOU CAN OUT OF ALL YOU'VE GET
全く同じだ!
方や、お金をかけずにお金を稼ぐ方法(PHP出版 1523円 平仲成敏訳)
方や、ハイパワー・マーケティング(インデックスコミュニケーション 1995円 金森重樹監訳)
文学小説ならともかく、ビジネス書で訳の巧拙を問うても意味がないやろ?
こんなことが許されるのなら、昔刊行された訳本の日本語をこなれた文章にするだけで、
誰だって訳本の一冊くらい、すぐに出版できるではないか。
監訳者は、「監訳者からのメッセージ」の中で前著が絶版になって・・・とか書いているが、
一時期在庫切れになったものの、今でもPHPから1523円で販売されている。
また前著ではカットされていたところも訳したと言っているが、仮にそうだとしても、
このような出版の仕方は消費者にとって好ましいやり方とは言えまい。
現に、俺のように2冊買ったアホもいるわけだし。
また同じく、「監訳者からのメッセージ」の中で、
自分のビジネスの宣伝をとうとうと語っているのもどうにも癪に障る。
ま、いずれにしても、
同じ著作の翻訳権を、タイトルの違う2冊の本に与えた、
ジェイ・エイブラハムこそ、最もあざといオッサンと言って良いだろう。
さすが、
お金をかけずにお金を儲ける方法
これを実践マーケターという。
次の粗相を斬る
粗相を斬るのTOPへ