東横インの粗相を斬る(2006.02.08)
俺が昔よく飯を食いに行っていた某飲み屋のお姉さん。
今は行方もわからないのだが、とにかく幸の薄い子だった。
結婚式で男が来なかった話だけでもかなり度肝を抜かれたんだが、
その後も親の借金を背負わされ、返済に追い回される毎日。
夜8時から明けの2時までクラブで接客。
2時過ぎから4時過ぎまでホテトル嬢。
風呂に入って着替えを済ませ、5時から7時までパン工場。
少し仮眠して、9時頃からベッドメイキングの仕事。
毎日大変やな。何が一番きつい?
の問いかけに、間髪いれずに返ってきたのが「ベッドメイキング」
予想外の答えに、ちょっとびっくりした記憶が残っている。
とにかく、「休む暇がなかった」らしい。
一応、休憩時間や食事休憩の時間がとられているのだが、
担当者数、処理部屋数、処理時間などを考えると、
絶対に休むことができない計算になっているらしいのだ。
ホテル責任者は涼しい顔で「休憩は取ってください」というらしいのだが、
現場では、班長的な社員と平社員との間で、壮絶なバトルが日常茶飯事らしい。
そう、そのホテルこそが、東横イン(広島平和大通り店)だったのだ。
ま、こんな実例を紹介するまでもなく、徹底的なローコストオペレーションは既に有名な話だ。
その思想の成れの果てが、今回の違法建築なんだろう。
当初の会見では、
「時速60kmのところを、67kmくらいで・・・」とか、
「身障者は年に1,2回しか来ないし・・・」とか。
ニタニタ、ニタニタ。
不遜にも思えるその態度の裏側では、
「いちいちこれくらいのことでうるさいんじゃ、ボケ」
の思いだったのは容易に想像がつく。
ところが、徹底した数値管理を実践している西田社長。
自社の数字を見ているうちに、この会見がいかにまずかったかを痛感したに違いない。
で、急遽お詫び会見ということになったと推察されるのだが・・・。
どうやら善は急げを徹底しすぎて、練習する時間があまり取れなかったらしい。
お遊戯指導の保母さんも、さじを投げたくなるような、ひどい謝罪会見だった。
責任を追及されようが、進退を問われようが、消え入るような声で、
「本当にすみませんでしたぁぁぁ」
「直させて欲しいんですぅぅぅ・・・」
ひたすら頭を下げるだけで、その回数、実に57回。
往年の松田聖子を髣髴させる、久々の本格的なウソ泣きだったし。
60近くになるまで、やりたい放題、し放題。
傍若無人に振舞っていたオッサンが、身障者のシュプレヒコール程度で改心などするわけがない。
喉もと過ぎれば・・・も、案外早いかもしれない。
さて。
ここのところ、世をあざむく事件が頻発している。
牛肉問題やら、耐震偽装問題やら、ライブドア事件やら。
今回の東横イン事件も、これらの同等と思われがちなんだが、
実は、他の事件とはちょっとだけ様相が異なる面がある。
それは、泣きを見る身障者の一方で、恩恵を受けていた多くの中堅サラリーマンがいる、ということなのだ。
社会が東横インを叩く一方で、「安くて便利だもんね」と利用を続ける消費者群。
確かに東横インがしてきたことは決して褒められるべきことではない。
ハートビル法違反のホテルも30数件に上るらしい。
しかし、年に1〜2回しか利用されない身障者用の部屋をなくしたことで、
多くの中堅サラリーマンが喜ぶ、安価な部屋を提供しているという側面もあるのだ。
繰り返すが、俺は東横インを擁護するわけではない。
しかしながら、身障者のための条例がどうとか、ハートビル法がどうとか言う前に、
下らんグリーンピア、何とかスパを作る金で、いくらでも身障者用特別施設を作れたのではないか、ということを問いたいのだ。
一般企業にハートビルのような規制を強いるということは、結局一般市民に費用負担を回すことになる。
それならば、いっそのこと税金でやったらどうかというのが言いたいことの趣旨だ。
金が足りなければ、不要な公務員をカットすればよろしい。
部屋数は少なくて良いはずだから、その分至れり尽くせりの身障者専用宿泊施設を作ることができるだろう。
身障者は安価、もしくは無料で使用でき、一方で健常者用の安ホテルはもっと低価格を徹底させる。
こういう共存の方法もありではないのだろうか、と俺は思う。
シルバーシートに端を発し、
とにかく人に言われないと、あるいは法律で規制しないと、
身障者や高齢者に暖かく接することができなくなってしまったような気がする。
ハートビル法では、容積率や税制上の特例があったり、
融資面での特典があったりするのだが、考えてみれば、実に情けない話なのだ。
こういう考えが蔓延するから、シルバーシート以外の席では目の前に高齢者が立っていようが、
「ここはシルバーシートじゃないもんね」で、狸寝入りがズラッと並ぶことになる。
どんどん薄れる福祉の意識。
そのうち学校でも、席の譲り方や、道案内の仕方、荷物の持ち方に、
そして何より、どうして思いやる気持ちが必要なのかについての授業が行われるようになるかもしれない。
そうなった時は・・・。
先生、

よろしく、お願いします!
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