阪大生パチスロ親殺しの粗相を斬る(2006.07.15)



阪大に入学してしばらくした頃、俺はS君という、非常にまじめでおとなしい男と知り合った。

同じ少林寺拳法部で、学科は違えど、所属も同じ工学部。

地元羽曳野出身で、中学、高校と勉強一筋、まじめを絵に描いたような男だった。



一方の俺。

一応受験校に通いながら、飲酒・喫煙は常習で、パチンコも日常茶飯事。

受験の年の12月まで、親には図書館に行くと言いながら、雀荘に入り浸っていた。



そんな対極にあった俺とS君。

俺の生活態度に一種憧れのような物を抱いていた彼と馬が合い、

俺は彼を飲みに連れ出したり、惚れた女との仲を取り持ったり、ストリップに連れて行ったりしてやった。

初めてパチンコに連れて行った時は、景品のチョコレートを家に持ち帰り、

嬉しそうに、両親に自慢していた。

まじめ一筋の息子を心配していた御両親も、逞しい友人が出来たと、俺を歓迎してくれたっけ。



そんなS君が原因不明の奇病で急逝したのが大学3年の時。

裏の世界を連れ回した時に、彼が見せた嬉々とした表情を俺は今も忘れることが出来ない。



さて。

後輩と言っても、俺とは親子ほども歳が離れた阪大生が、パチスロにはまって母親を殺したらしい。



彼が俺のようなタイプだったのか、S君のようなタイプだったのかは知る由もないが、

報道される内容を見る限り、どうやらS君に近い青年だったような気がしてならない。



一生懸命勉強し、一浪までして阪大に入学。

入学後は、まじめにレストランなどでバイトに励んでいたと聞く。

そんな彼がたまたま友人に誘われてパチンコ屋に行き、ビギナーズラックで大勝。

そこから、徐々に軌道がずれていく。

年代的に言えば、猛獣王、アラジンあたりであろうか。

一撃十数万、いや数十万も可能な爆裂マシン。



こんな世界があったのか・・・。

おそらく、それが彼の率直な印象であっただろう。

彼の中にコペルニクス転回があったことは想像に難くない。



しかし、現実はそう甘くはない。



自分の貯金を切り崩し、友人から金を借り。

おそらく、高利の金にも手をつけていたことだろう。

大学からは足が遠のき、進級は遅れるばかり。



純粋培養された青年には抗体がない。



母親の苦言も、頭では理解できても、

心の根の部分ではどうすることも出来なかったのであろう。

そして、ついに最悪の結末を迎えることになる。



ギャンブルは、すべからく自己責任である。

家屋敷を取られようが、土地を競売にかけられようが、

胴元にイカサマをかけられようが、文句を言っていくところはない。



何でパチスロなんかにはまって借金したの、

何で大学にも行かないの、何で母親まで殺したの。

責められるべきは、彼一人なのである。



だが、一言だけ言っておきたいことがある。



ギャンブルは自己責任であるが、パチスロはギャンブルでない、ということだ。

言うまでもなく、レジャー産業なのである。

だから、全国のいたるところに、数え切れないほどのホールが存在する。

いつでも、どこでも、高校生でも、気軽に入れるような賭博場が、

わが文明国、日本にあるわけがない。

賭博税もかからない、明るいレジャー産業なのである。



残虐性の高いゲームに煽られ、子供が事件を起こすと大騒ぎするマスコミも、

パチンコ屋で自殺者が山ほど出ようが、取り上げることはほとんどない。

なんせ、明るいレジャー産業だから。

取り締まる側の偉い方たちも、業界をより良いレジャー産業にするため、

たくさん天下って、頑張っていらっしゃる。



一方で。

明るいレジャー産業のつもりで、抗体を持たない純粋培養の青年が足を踏み入れ、

この世の物とは思えない、束の間の悦楽と、底のない地獄の苦しみにまみれることになる。



主婦や、年金受給者も決して、例外ではない。

貧乏人からむしり取った金は一体どこに行くのであろう。



明るいレジャー産業・・・か。





いつまで放置するつもりなのであろうか。

対外的なことも含めて、色んな事情が絡み合う業界だから、

一刀両断には行かないだろうが、そろそろ限界だろう。



良識ある政治家に告ぐ。





そろそろ、
























民族としての誇りを見せてくれ。



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