野球留学の粗相を斬る(2007.08.21)



第89回全国高校野球選手権大会、広島予選の決勝戦。

選抜ベスト8の実力校、広陵高校は創部わずか2年の総合技術高校に、

延長戦にまで持ち込まれるという苦戦を強いられていた。



俺はどちらの高校にも縁もゆかりもないから、

いずれに肩入れするでもなく、ただ漫然と画面の中で走り回る選手たちを眺めていた。

結局広陵が接戦を制し、甲子園出場を決めたのだが、

いざ本大会となると、俺の心情にもわずかながら変化が生じてくる。



各県を代表する球児たち約900名の中にあって、

ユニフォームの肩袖に「広島」という2字が縫いこまれた一団を見つけると、

自然に「頑張れよ」という感情が沸いてくるのだ。



その広陵高校は初戦で優勝候補の駒大苫小牧を下し、

後は肩の力が抜けたのか、スムーズに勝ち上がっていった。

そして今日、見事に選抜優勝校常葉菊川を破り、決勝戦へと駒を進めた。

ちなみに広陵の決勝進出は実に40年ぶりで、俺が小学3年生の頃。

親父が朝早く起きて、甲子園まで試合を見に行ったことをぼんやりと記憶している。



さて、今年の広陵高校ベンチ入りメンバーの出身地を見てみると、

広島13名、大阪3名、岡山1名、山口1名となっている。

高校野球の名門でしかも私学。

全国から優秀な選手をかき集めることは、最早一般的なことであるし、

応援する方も、特に違和感を抱くほどのことでもない。

野球以外のスポーツでも、都合よく留学に来ていたエチオピアの選手が駅伝に借り出されたり、

たまたまモンゴルから留学に来ていた生徒が相撲と出会い、横柄な横綱になることもある。

またスポーツ以外でも、有名受験校が優秀な生徒を広告塔代わりに入学させることも多い。



しかし、ものには限度、というものがある。



今大会で、ベンチ入りメンバー18名が全員地元出身者という学校は11校。

残りの38校は、いわゆる外人部隊による混成チームとなっている。



中でも青森県代表の青森山田高校。

出身地の構成を見てみると、青森11名、神奈川2名、大阪2名、東京2名、兵庫1名。

なんだ、大したことないじゃん、と思われるかもしれないが、

実は青森出身11名は全員青森山田中学出身で、

中3の12月あたりに、他県から青森山田中学に転校、

そのまま青森山田高校に持ち上がったケースがほとんどなのだ。



で、実際の青森県出身者は3名。



ミートホープ山田、と呼ばせていただこうか。

こういった姑息な偽装をすること自体、罪の意識の裏返しと指摘しておく。



ま、青森の人たちも、そのほとんどがこういった実情を知ることなく、

同郷の代表として、声援を送っているに違いない。



それはそれで良いのかも知れない。

出身はどこであろうと、青森山田高校は実際青森にあるのだし、

戦力の均衡が図られて、好ゲームが繰り広げられると言うメリットもあるだろう。

報徳学園が青森のチームに5-0で負けるなど、山田かつてあり得なかった話なのだ。



だが、一方で。



青森県大会の予選結果。

1回戦   青森山田 12-1 青森工業

2回戦   青森山田 16-0 八戸東

3回戦   青森山田 10-0 黒石

準々決勝 青森山田 16-0 青森西

準決勝  青森山田 13-0 青森商

決勝    青森山田  9-2 八工大一




まさに、
木っ端微塵の勢いである。



青森出身の高校球児たちは、

一体どんな思いで青森山田の甲子園出場を見送ったことだろうか。



中学、高校と一生懸命練習に励み、

甲子園目指して、汗と涙にくれた日々。



それが、外人部隊になぎ倒されていく。



俺には、ある映画のワンシーンが重なって見える。




















ガトリング銃の前に、潔く散っていったラストサムライ勝元盛次。



賛否両論あるであろう。

だが、俺は地元住民が一体となって声援を送っていた、

桜井高校応援団の姿に胸が熱くなる。

あの一体感こそが、県を代表して戦う甲子園大会の真の姿ではなかろうか。



さて、明日はいよいよ決勝戦。

わが広島代表広陵高校と戦うのは、佐賀北高校。

実はこの佐賀北高校、数少ないラストサムライの1校なのである。



どちらが勝っても、違った意味の喜びが味わえそうな気がしている。



最後に、俺の強烈な郷土愛を語っておきたい。





死ぬまでに一度で良い。

一度で良いから、甲子園に応援に行かせてくれ。





















わが母校、呉三○田高校よ。

昭和26年、春に出場したきり。


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